ゴミ捨て場が遠い。
家の周りは道が狭いので、ゴミ収集車が来てくれないのだ。
冬はしっかり上着を着て、雨なら長靴を履いて出るくらいの距離がある。
年明けに、ゴミを持って家を出たら、数分前に家の前を通ったはずの車が道の先で止まっていた。
止まっているように見えて、実は動いていたのだが、その先にはお爺さま。
台車にゴミを乗せて、ゆーっくり歩いておられる。
正しくは、ゆーーーっくり。
(ご高齢なので)
道が狭過ぎて、車がお爺さまを抜かせないようだ。
いや、端に避ければ車は通れるのだが、お爺さまはマイペース、ど真ん中をゆうゆうと歩く。
お爺さま→ 車 → 私。
私がだんだん車に近づいてしまう。
車を追い抜いても良かったけれど、それはやめて、この状況を楽しむことにした。
お爺さまに捕まると、また帰りが遅くなるので、距離をとっておきたかったというのもある。
ゆーーーっくり歩くのが面白くなってきた頃、お爺さまは目的地に到着した。
車は追い越し、私も遅れて到着。
ここから、いかに上手くお爺さまを振り切り家に帰るかが勝負だ。
捕まったら、1時間の自慢話スペシャルを聞くことになる。
(詳しくはこちら)
↓
datsuryokuseikatsu.hatenablog.com
「わしも歳とったでいかんわー」
私に話かけるお爺さま。
想定内よ、そんなの。
ダッシュで逃げるため、頭の中ではもうアキレス腱を伸ばしている。
「今日は寒いですね」と私。
カラス避けネットを持って差し上げ、ゴミをしまう。
ここで足を止めてはいけない。
まだ何か言っておられたが、笑顔で
「そうですね、あははー」と言いながら逃げた。
なにが「そう」だったのかはわからないが、我ながら見事だった。
でも、ちょっと冷たかったかしら。
世間話でも、ちょこっとしてから帰ればよかったか…。
後悔したりしなかったり。
反省したりしなかったり。