祖母は台風のような人だった。
140センチちょっとの小柄な体型の割によく食べ、大声で喋る(悪口多め)
平気で嘘をつき、私達を困らせることもあったし、母(自分の娘)とは年中ケンカをしていました。
ケンカも大声です。
わざわざ庭先で大声を出すこともありました。なんとも激しい母娘です。
近所の人は、またやってるなと思っていたと思います。
その祖母も晩年は認知症で、色々と忘れんぼになりました。
認知症だったと人に言うと、「可哀想」だと言われたことがありますが、私はそうは思いませんでした。
90歳を超えているんだから、忘れることが多くてもしょうがないと思っていました。
「○○ちゃん、パン買うてきてくれへんか」とパン好き祖母が私に言いました。(孫の名前は最後まで忘れなかった奇跡に乾杯)
「どんなパンがいいの?、食パンか?、あんぱんか?」と私。
「そうやそうや、あんぱんがええな。・・あんぱんて、どんなパンやったかいな?」と、ひとりノリツッコミをする祖母に
「あんぱん忘れたんかー」とお腹を抱えて爆笑する姉と私。
内孫なんて、こんなもんです。
つられて笑う祖母。
亡くなって、もう9年が経ちました。
お葬式の時、「おばあちゃんやったら、あの辺に立ってお葬式に来てくれた人を見てるんやろうな…」と考えた瞬間、泣こうと思っていないのに(思えって?)涙がドバーッと流れてきました。
悲しいと思っていないのに(思えって?)滝のような涙です。
涙はしばらく止まりません。
勝手に流れ続ける涙に、戸惑いっぱなしのお葬式でした。
その不思議な体験のことを家族に話したら、姉も私と全く同じ状態だったと言いました。
泣こうと思っていないのに(思えって?)、悲しいと思っていないのに(思えって?)涙が出続けたと。
あぁ、チャンネルが合ったんだなと思いました。
その祖母が時々夢に出てきます。
セリフ付きです。
「15分あったら掃除出来る」と私に言います。
「ケンカ売ってるんかな?」と思いました。
「掃除はおばあちゃんのほうが下手やったで」と。
昨年、机の上の薬の箱をカタカタ揺らして見せたり、えんぴつをスーッと動かす怪奇現象がありましたが、祖母の仕業ではないかと怪しんでいます。
そういうことやりそうだから。
なんだか懐かしくなりました。