脱力生活くらぶ

50代専業主婦 ゆるく生きてゆく

今となってはいいおもひで

最後に飲み会に行ったのがいつだったのか、もう思い出せない。

自分は飲めるのか飲めないのか、飲みたいのかそうでないのかさえわからない程、はるか昔の記憶である。

私がまだ若く美しく(はぁ?)、素敵な未来を夢見ていた独身の頃は、女子会、会社の飲み会、忘年会に加え、同僚Aちゃんの飲み会が数多くありました。

同僚のAちゃんは人を集めます。

パイロットが来る飲み会来うへん?」と皆に声をかけます。「お医者さま」や「自衛官のエリート」「普通の会社員」の場合もありました。

パイロットなんてめずらしいわ、せっかくだから行きましょうよ」となって、仲良し数人で参加します。ワクワク。

パイロットは色々と教えてくれます。何であんな重い機体が飛べるのか、それは翼が蒲鉾のような形をしているから浮力ってのがうまれるのさ。なんてことを親切に教えてくれる。賢くなる私たち。

でも、職場に美しい客室乗務員が山ほどいるのに、メーカーOLとの飲み会に来る必要があるかしら?と自称独身のパイロットを大いに疑う。

独身が嘘か、パイロットが嘘か…。あやしい。そして、制服を着ていない時のパイロットは、特別カッコよくないということを知る。

お医者さま(3人)は自分の勤めている病院以外で、お金のために夜勤のバイトをしている話を教えてくれました。

医者だって稼げる人ばかりではないらしい。そう言いつつ、ポルシェに乗ってやってくるのだから、何が本当かわからない。夜勤もして、飲み会にも来るなんていつ寝るのか。とにかく3人とも既婚者なのが最もこわかった。でも、自分たちは既婚者だと堂々と言ってのけるところはむしろ清々しかった。

そして白衣を着ていない時の医者もまた、特別カッコよくないということを知ったのだった。

エリート自衛官は絵に描いたような好青年で、とても真面目な人だった。毎晩、竹刀を振るらしい。

一年のうちに何ヶ月も海にいて帰って来られない仕事なんだと教えてくれた。こういう人がいて国が守られているんだと心から尊敬する。そして尊敬だけして終わったが、この人は正真正銘に立派な人だったので、嘘なんかつかないはず。私たちは独身であったと信じたが、とにかくAちゃんの人脈は既婚者率が高すぎた。

私と仲が良い同僚Bちゃんは、美人でいわゆる「高嶺の花」な人だった。

職場のおじさんたちは、私を尋ねてやってくるB子ちゃんを見てデレデレします。

「結婚してるけど付き合って欲しい」と既婚者からも声がかかって困っているようでした。

おじさん達はアグレッシブです。「脱力ちゃんも誘ってごはん行こう」と私をダシに使います。

誘いがしつこくて断りきれないB子ちゃんから、一緒に来て欲しいとお願いされます。

あぁ、行きたくない。何も楽しくないに決まっている飲み会。でも頼まれたならしょうがないかと嫌々お供します。

バレンタインデーのプレゼントにも私をダシに使う人がいました。これまた別の既婚者。

B子ちゃんにはプレゼントとスパークリングワイン。ダシ子にも小型スパークリングワイン。本命にだけ渡す勇気がなかったのか。

そして、こんなダシ子にも声をかける既婚者もいました。やたらと「車で送るよ」と言うおじさん既婚者。

帰りによる所があるとか、お迎えがくるからとか、あらゆる嘘をつき断ります。嘘をつく自分がしんどかった。

こうして私は、若い女の子と遊びたい既婚者のおじさんが、世の中にはびっくりする程たくさんいるのだということを学んだのでした。それも今となってはいいおもひで。なのか?