Cさんが私の前で泣いた。彼女とは長い付き合いだけれど、こんなことは初めてだった。ハンカチで目をギュッと抑え泣いている彼女を見て、私はオロオロするばかりだった。
自分の周りを見渡してみる限り、50代の夫婦関係は、ほぼ2択なんじゃないかと思う。
怒っているか、諦めているか。(妻側目線ですが)
稀に仲が良い夫婦もいるけれど、とても少ないと思う。どこを探しても、チャールズ・インガルス(大草原の小さな家です)なんていないのだから。
どう考えても、旦那さんが悪いと思えるCさんの話に、私はどの程度ツッコミを入れたら良かったのか。
妻を母代わりにして甘え、言いたい放題八つ当たりをして、こんな風に自分の妻を泣かせているなんてサイテーな男だと思うけれど、そうも言えませんよねぇ。そこは夫婦だから。
「旦那さんが言い過ぎはったわ。Cさんは悪くない」私が言えたのは、せいぜいこのくらいだった。
でも、こんなことも言わず、聞くだけでよかったのかな?むつかしい。
Cさんを見ていると、昔の姉を思い出して心配になります。姉も、毎日私に電話をかけてきては泣きました。
そして、溜まったストレスが大病を連れてきた。ドン引きするくらいのヤツ。
「知ってた?来月で5年になるねんで。先生が、5年がひと区切りやって言ってはったわ」と姉が言ったけれど、忘れるわけがない。
私の骨髄を使うこともなく、無事にやってこれたこの5年、感謝しかない。
この2年くらいで姉は変わったと思う。旅行に行ったり、ひとり早朝遠足に行ったりして楽しむようになった。夫婦関係も少し良くなったらしい。
「何が変わったん?」と私が尋ねると、「相手は全く変わってないけど、自分が変わってん」と言います。義兄は変わらないけど、自分が腹が立たなくなったと。まあいいわって感じで。
母からも適度に距離を取れるようになったし、猫を飼いだしたのも良かったと思う。
旅行に行ったり、美味しいものを食べたり、ペットを可愛がったり、運動をしたりして、楽しく上手にストレスを発散出来ていれば元気でいられる。それを姉が証明してくれました。
病気のことなんか忘れるくらい遊ぶ。嫌なことがあった日でも、1日の終わりには楽しいことを思い浮かべて眠る。
紅葉がきれいだったとか、コーヒーを上手に入れられたとか、新米が美味しかったとか。
何も楽しいことがなかったら、中川家の漫才でも見て笑えばいい。
「嫌やったわ、辛いわ」って言葉を口にする代わりに、「楽しかったわ、面白かったわ」と言いたい。
そうしていれば、病気が入ってくる隙間なんてないと思うから。もう何年たったなんて数えることすら忘れてしまって、「嬉しい、楽しい、面白い」で埋めてしまえばいい。
そういうことを教えてもらえた5年だった。
来月、姉にお花を送ろう!お祝いだ!